【図解で優しく解説】腸内フローラの基礎と整腸剤の違い
はじめに

CMやスーパー・コンビニ・ドラッグストアで乳製品や飲料水、医薬品を見ると
乳酸菌が100億個!!
善玉菌が入ってる!!
などの魅力的なワードが書いてある商品がたくさんあります。
「お腹の調子が悪いな…」と感じたときに、それらの商品を購入した人もいるではないでしょうか。
最近はコンビニで整腸剤を販売しているところもあるので、より身近な存在になった医薬品にも頼る人がいるかもしれませんね。
今回は、菌の違いや働き方をまとめたいと思います。
腸内フローラ

人間の腸内には、数100種類の細菌が100兆個以上存在しており、その総重量は1~1.5㎏もあるといわれています。
人間を作り上げている細胞は約37兆個とも言われているので、いかに腸内細菌が多く存在しているかがわかりますね。
「腸」は小腸と大腸に分けられますが、
・小腸(十二指腸→空腸→回腸)
・大腸(盲腸→結腸→直腸)
の順で続いています。
摂取した食べ物は胃で消化され、小腸に運ばれて大腸に移動します。
100兆個以上の腸内細菌は、主に大腸に存在しています。
あまりにも細菌の数が多く、お花畑のように見えることから腸内フローラとも呼ばれています。
※フローラ(flora)・・・ラテン語で花(flos)を意味する言葉からきている
腸内細菌の種類
大きく3種類に分けられます。
善玉菌▶人に健康を支える菌
悪玉菌▶人に健康を害する菌
日和見菌▶どちらにも属せず、優勢な方に働きかける菌
腸内細菌の理想的な割合は、
善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7
といわれています。

お互いに支え合いながら健康を保っており、
悪玉菌が過剰に増殖することを防いでいます。
これらの割合が下記のような原因で乱れて悪玉菌が増えてしまうと、便0秘や下痢、生活習慣病、肌荒れなどを引き起こすことがあります。
・偏った食生活
・年齢
・ストレスがかかった日常
・抗生物質などの薬剤
乱れた時には整腸剤が手助けを

心当たりがあれば原因を除去することが1番ですが、お薬で善玉菌を増やし、腸内環境を整える方法もあります。
お薬は「整腸剤」という類になりますが、大きく分けて2つあります。
①生菌製剤
②耐性乳酸菌
①の効果は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
②の効果は「抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
です。
ドラックストアなどで購入できる整腸剤は、①の生菌製剤になります。
つまり生菌製剤を摂取すると、善玉菌が増えて胃腸の不具合を解消してくれることとなります。
①生菌製剤
「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
生菌製剤は
・ビフィズス菌
・乳酸菌(ラクトミン)
・糖化菌
・酪酸菌
の4種類があります。
医療用医薬品(単菌)

糖化菌のみ、単独でのお薬はありません。
体感にはなりますが、この中で処方頻度が高いものは以下のものになります。
・ラックビー錠・微粒N
・ビオフェルミン錠剤・散剤
・ミヤBM・細粒
医療用医薬品(複数菌)

①ビフィズス菌+乳酸菌
②乳酸菌+糖化菌
③乳酸菌+糖化菌+酪酸菌
の3パターンがあります。
②乳酸菌+糖化菌の医薬品名は
ビオフェルミン配合散です。
単菌であるビフィズス菌のみで構成される
ビオフェルミン錠剤・散剤とは
全く別物になるので注意しましょう。
名前が酷似しているため、何度もヒヤリハットしている場面を目撃しました。
③のビオスリーの「スリー」は、
3つの生菌製剤が混合されていることが由来
です。
場所・役割
それぞれが適した場所で働きかけ、
「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
を行います。
どこに適しているか、
小腸と大腸をイラストに差し込んでみます。

それぞれの菌が「乳酸・酢酸・酪酸」を生み出す手助けになっています。
・乳酸▶腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑える
・酢酸▶脂肪蓄積抑制などの効果、免疫機能の調整をする
・酪酸▶蠕動運動を促進し、便通改善
など、これら以外にも多くの働きを担っています。
また、糖化菌と酪酸菌は「芽胞」を形成します。
芽胞を形成すると、
「強い殻に覆われている」形になるので、
「耐性乳酸菌」のような働きも担います。
分類

口に近い小腸上部では酸素が多いですが、大腸に進むにつれて酸素が減っていきます。
細菌が育つ条件より4つに分類されますが、
ポイントとなるのは
「酸素が必要かどうか」
ということです。
まず、
酸素が必要な「好気性菌」と
不必要な「嫌気性菌」
に分けられます。

さらに、酸素量によって分けられ、
・酸素が必要な「偏性好気性菌」
▶糖化菌
・低量酸素が必要な「微好気性菌」
▶ピロリ菌
・酸素が有無に拘りのない「通性嫌気性菌」
▶乳酸菌
・酸素が不要な「偏性嫌気性菌」
▶ビフィズス菌・酪酸菌
があります。
文字で覚えるのは大変ですが、図のイメージを持っていれば、
・「小腸~大腸」まで通っている乳酸菌のみ▶通性
・「小腸上部」にある糖化のみ酸素が必須▶好気性
と理屈を把握しておけば、分類がしやすいかと思います。
まとめ

②耐性乳酸菌「抗生物質、化学療法剤投与時の腸内菌叢の異常による諸症状の改善」
抗生物質を服用すると、体に良い菌も攻撃してしまいお腹を下してしまうことがあります。
生菌製剤を一緒に飲んでも、抗生物質に負けてしまいます。
そのため、抗生物質が処方されたときには、それに耐えることのできる「耐性乳酸菌」が一緒に処方されることがあります。
医療用医薬品としては、
・ビオフェルミンR散・錠
・ラックビーR散
・エンテロノンR散
・レベニン散・錠
があり、レベニン以外は「R」が商品名についています。
耐性を英語で表す
「Resistance 」の頭文字をつけています。
せっかくならレベニンにもつけてほしいですね…

また、全ての抗生物質に適応が通っているわけではなく、以下の系統のみです。
・ペニシリン系
・セファロスポリン系
・アミノグリコシド系
・マクロライド系
・ナリジクス酸
・テトラサイクリン系(ラックビーRを除く)
ニューキノロン系には適応がないので、要注意です。
(これを知らないお医者さんが比較的多いので、疑義紹介率高めです!)
整腸剤を複数組み合わせた事例
毎月、A先生から降圧薬2種を処方される患者さん(60代・女性)が、今月も来てくださいました。
先月はお腹に違和感を感じていたため、降圧薬に追加して、
・ビオフェルミン散剤 3g
分3毎食後 10日分
が一緒に処方されました。

その数日後には遥か前に予約をしていた大腸検査を実施し、B先生から憩室炎と診断されたそうです。
B先生の処方した薬は、門前のC薬局からお薬をもらっていました。
・クラビット500㎎ 1錠
分1 朝食後 4日分
・ラックビー微粒N1% 2g(整腸剤)
・ミヤBM顆粒 2g(整腸剤)
・マーズレンS配合顆粒 3g(胃粘膜保護剤)
の混合剤 分3毎食後 28日分
C薬局からは
「A先生から処方されたビオフェルミン散剤は服用中止するように。」
という指導もあったとのことです。

A先生が処方したビオフェルミン散剤と
B先生が処方したラックビー微粒Nが
「ビフィズス菌」という類で重複
しますので、上記のような指導があったのかと推察されます。
※B先生の混合剤はおそらく「約束処方」となるので、
疑義照会にてラックビー微粒Nのみの削除はかったのではないか、とも推察できます。

抗生物質であるクラビットも処方されているため、
副作用として下痢が起きる可能性があります。
しかし、耐性乳酸菌はニューキノロン系に適応がないため、
芽胞形成をするミヤBMが処方されていることも推察されます。
抗生剤を飲み切ったあたりからお腹の違和感も改善し、現在は混合散剤のみ継続していると伺いました。
上記のように整腸剤を混合してお渡しする処方はよくあります。
おわりに

数100種類の細菌が100兆個以上も存在する腸内に、面白さも感じます。
最近では、健康な人の腸内フローラを、腸内細菌が乱れた患者さんの腸の中に移植する治療法もあるようです。
知らぬ間に自ら育てていた腸内フローラが、
他の人に対してすごく効果を示すこともあるなんて目から鱗です!
いつか誰かの役に立つかもしれないあなたの腸内フローラ、是非大事に育ててください!
