6年生で焦らない!実践問題が得意になる薬局実習・病院実習攻略ガイド
はじめに
近年の国家試験では、より実践的に活躍できる薬剤師を輩出しようと、臨床に係る問題が数多く出題されるようになってきました。実際、問題の傾向としては、文章量が増え多くの情報が与えられている中で、その症例で薬学的に問題となる事項を自ら考え答えに落とし込まないといけない問題が増えてきています。
そのため、実務実習の受け方でその後の6年生での成績が大きく変わってきますので、国試勉強で困らない実務実習の正しい受け方について、解説していきたいと思います。
この記事はこんな人に読んでもらえたらと思います。
- 低学年で勉強した内容が定着しておらず国試が不安
- CBTで高得点を取れず、国試で点数取れるようになるか不安
- 実習を意味あるものとして受けたい
- 実習がつまらないと感じてしまう
国試の実践問題を見てみよう!
まずは、敵(国家試験)を知らないとどのように受験するのが正しいかわかりません。実際直近の国家試験でどのような問題が問われているのか、見てみましょう!


110回薬剤師国家試験(問298~299)厚生労働省HPより
問題を見る時に大切なことは問題を解けるようになっておく必要はないということです。
問題の流れや実務実習で必要なことを理解しましょう!
今回の問題で大切なことは、以下のようなことです。
- 患者の主訴や身体的な状態から病態を理解できるか
- 検査値を正しく理解しているか
- 治療ガイドラインを理解し適切な目標値を把握しているか
- 適切な薬物治療に繋げるために各薬剤の薬理作用や特徴を理解しているか
このようなことが聞かれています。もちろん座学で勉強することも大切ですが、実習で一般的な疾患である8大疾患については、実際の患者さんを例にとって見ていく必要があります。
実習中に国試対策ができる技
「見る」から「使う」へ

実務実習で実際の患者さんに関わる際に、処方や検査値を“眺めるだけ”で終わると学びは薄くなります。
必ず「この情報で何を判断できるか?」を自問し、国試の設問を思い浮かべてアウトプット前提で観察しましょう。一緒に実習を受ける同級生がいるときは、実習中や休み時間に患者例を共有して考えてもいいかと思います。
「暗記」より「根拠」メモ

禁忌や投与量を丸暗記するより、「なぜそうなるのか」を必ず書き添えてください。国家試験ではこの「なぜ」がよく問われるようになってきました。
また、直近の国家試験はただ単に丸暗記の知識だけでは攻略しづらくなってきているのも現状です。
例えば、単に併用禁忌の薬を覚えるだけでなく、なぜ併用禁忌なのかその機序も頭に入れておく必要があります。実習で疑問に思ったことや根拠となる部分はメモに取っておいて「〇〇 薬剤師国家試験」と検索すると実際に国試で出来た問題がヒットすることがあります。国試の過去問も積極的に活用していきましょう
わからなければ指導薬剤師の先生を頼る
皆さんは実務実習で学びに行く立場になりますので、指導薬剤師の先生に臨床上の根拠を積極的に聞きに行きましょう。国試の出題委員の先生も大学の先生ばかりではなく薬局や病院で働かれている先生も委員になられています。

臨床のプロは大学の先生でなく実習先の先生になるので、実習中にしか吸収できない知識は恥ずかしがらずに必ず聴くようにしましょう。
5年生の実務実習でやるべき“仕込み”チェックリスト
- 国試の実践問題を流し見する(解けなくてもOK)
- 1日の中で臨床的に気になる症例を1つはピックアップする
- 実習記録で、症例を深堀りしておく
- 一緒に実習を受ける仲間と症例の共有をする
- 沢山の検査値の中かから異常な検査値が見つけられるようにしておく
- OTCの提案もできるようにする(国試で毎年OTCの選択は出題されます)
- カルテや薬歴の先生の考えやプランを確認する
- 指導薬剤師の先生に疑問点はぶつける(できれば多職種の先生にも聞けるとベスト)
よくあるQ&A
- 指導薬剤師の先生に質問ばかりして迷惑になりませんか?
-
単に質問をぶつけるだけでなく、事前に自分の考えを示してからコンパクトに整理して質問すれば大丈夫です!
忙しくない時間を使って先生に聞いてみましょう! - メモを書く時間がない…
-
疑問に思った瞬間に単語だけでも手持ちもメモに書いておくか、もし難しければその単語を覚えておき、10分ぐらいの間で暇な時間を見つけて書いておきましょう!基本的に勉強をしに行っているので疑問点はチェックして後で深堀りできるといいですね!
- 国試対策資料を実習に持ち込むべき?
-
実践問題が掲載されているコンパクトな参考書がおすすめです。例えば直近の国家試験の回数別問題集や領域別問題集はおすすめです。休み時間や自習時間が与えられる実習先もあるので、空いた時間が出来た際には必ず問題を流し見しておきましょう!
6年で失敗しないために
実務実習は「忙しいイベント」ではなく、国試実践問題を先取りできる最高のフィールドワークの時間です。実践問題は国家試験の約半分の問題数を占めています。
今日紹介した具体策を実践すれば、6年生になってから「実践問題が解けない…」と焦ることはなくなるはずです。
有意義な実務実習を受けてくださいね!