【解説付き】111回薬剤師国家試験 問226~問245 実践 衛生 解答解説

問226,227

解答・解説

問 226(衛生)

正答:4
55~64歳(比較群)のデータ

  • 感染者数:600 + 400 = 1,000 人
  • 死亡者数:1 + 1 = 2 人
  • 生存者数:1,000 – 2 = 998人
  • オッズ:2 / 998

80~94歳(対象群)のデータ

  • 感染者数:400 + 300 + 300 = 1,000 人
  • 死亡者数:5 + 10 + 15 = 30 人
  • 生存者数:1,000 – 30 = 970 人
  • オッズ:30 / 970

オッズ比の計算

 OR=30/9702/998=30×998970×2=14,97097015.43OR = \frac{30 / 970}{2 / 998} = \frac{30 \times 998}{970 \times 2} = \frac{14,970}{970} \approx 15.43

選択肢の中で最も近い値は 15 となります。

問 227(実務)
正答:2, 3

1:× インフルエンザウイルスの主な感染経路は、飛沫感染および接触感染です。空気感染(飛沫核感染)が主な経路となるのは、結核、麻疹、水痘などです。
2:○ 正解。ウイルスは手指を介した接触感染によって伝播・拡散するため、手指衛生(手洗い・アルコール消毒)の徹底は感染防止の基本です。
3:○ 正解。インフルエンザHAワクチンは鶏卵(発育鶏卵)を用いて製造されるため、微量の鶏卵由来成分が含まれる可能性があります。そのため、重度の鶏卵アレルギーがある場合は、接種の適否を慎重に判断する必要があります。
4:× 65歳以上の高齢者に対するインフルエンザHAワクチンの定期接種は、予防接種法の「B類疾病」に分類されます。B類疾病には、個人の発病・重症化予防を主目的としているため、A類疾病(MR、ポリオ等)のような努力義務規定はありません。
5:× ペラミビル(ラピアクタ)は点滴静注用の抗インフルエンザ薬ですが、日本における適応は「インフルエンザウイルス感染症の治療」のみです。予防投与としての適応は認められていません(予防投与が認められているのは、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル等です)。

問228,229

解答・解説

問 228(実務)
正答:5
1:× リネゾリドへの変更は、バンコマイシン(VCM)が無効、あるいは副作用(腎機能低下等)が生じた場合に検討されますが、本症例では感染徴候が消失しているため不適切です。
2:× テイコプラニンへの変更も、薬剤の変更が必要な状況(アレルギーや副作用等)ではないため不適切です。
3:× セファゾリンは第1世代セフェム系抗菌薬であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)には無効です。
4:× 減量は投与を継続することを前提としていますが、本症例では治療終了の条件を満たしています。
5:○ 正解。体温 36.2C36.2^\circ\text{C}(平熱)、CRP 0.25 mg/dL0.25\text{ mg/dL}(陰性化)、創部浸出液なし、といった検査所見より、MRSA感染症は臨床的に治癒したと判断できます。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)としては、不要な投与継続による耐性菌出現や副作用のリスクを避けるため、「中止(治療終了)」を提案するのが最も適切です。

問 229(衛生)
正答:1, 4

1:○ 正解。MRSAは、健康な人には無害であることが多いですが、手術後や免疫力が低下した患者に感染して発症する「日和見感染症」の代表的な原因菌です。
2:× 感染症法において、特定の職業(飲食物製造業など)への就業制限が規定されているのは、主に3類感染症(コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症など)です。MRSAにはこのような規定はありません。
3:× 第1種感染症指定医療機関への入院・転院が必要なのは、1類感染症(エボラ出血熱、ペストなど)や、2類感染症の一部(結核の入院勧告時など)です。MRSA(5類)では不要です。
4:○ 正解。MRSA感染症は、感染症法における「5類感染症」に分類されており、指定された医療機関が保健所に届け出を行う「定点把握対象疾患」です。
5:× 黄色ブドウ球菌(MRSAを含む)は、健康な人の鼻腔や皮膚などにも常在菌として存在(保菌)していることがあります。

問230,231

解答・解説

問 230(実務)
正答:1, 5

1:○ 正解。特定保健用食品(トクホ)は、健康の維持・増進に役立つなどの「特定の保健の用途」に適する旨を表示できる食品です。
2:× 特定保健用食品は、以前は厚生労働省の所管でしたが、現在は「消費者庁長官」の許可を受けた食品です。
3:× 食品であるため、医薬品のように疾病を「治療」することを目的とした表示や利用はできません。
4:× 薬局だけでなく、スーパーやコンビニエンスストアなどでも購入が可能です。
5:○ 正解。特定保健用食品の中には、カルシウム(骨粗鬆症)や葉酸(神経管閉鎖障害)など、特定の成分について「疾病リスク低減表示」が認められているものがあります。

問 231(衛生)
正答:2, 4
1:× キトサンは、コレステロールの吸収を抑えるなどの用途で用いられます。
2:○ 正解。大豆イソフラボンは、骨からのカルシウム溶出を抑える働きがあり、「骨の健康を維持する」用途の関与成分としてトクホに認められています。更年期世代の女性に適しています。
3:× 茶カテキンは、体脂肪の燃焼やコレステロール値の改善を目的として用いられます。
4:○ 正解。ビタミン K2K_2(メナキノン-7)は、骨タンパク質(オステオカルシン)を活性化し、骨形成を促進する働きがあるため、骨の健康維持を目的とした関与成分として適切です。
5:× マルチトールは、虫歯の原因になりにくいなどの用途で用いられる糖アルコールです。

問232,233

解答・解説

問 232(実務)
正答:1, 5
1:○ 正解。ノロウイルス患者の嘔吐物を処理する際は、飛沫による感染(エアロゾル感染)を防ぐため、使い捨てマスク、ゴム手袋、エプロン、およびフェイスシールド(またはゴーグル)を着用することが推奨されます。
2:× 処理中はウイルスが飛散するため、換気を良くする必要があります。窓を閉め切って行うのは誤りです。
3:× ベンザルコニウム塩化物(逆性石けん)は、エンベロープを持たないノロウイルスに対してはほとんど効果がありません。
4:× グルタラールは高水準消毒薬ですが、人体への毒性や刺激性が強いため、環境表面の拭き取り消毒に使用するのは不適切です。
5:○ 正解。嘔吐物が付着した白衣などは、周囲を汚染しないように取り除き、0.1%(1000 ppm)次亜塩素酸ナトリウム液に浸漬(30分程度)した後に洗濯します。

問 233(衛生)
正答:1, 5
1:○ 正解。ノロウイルスは熱に弱く、食品の中心部を85度から90度で90秒以上加熱することで感染性が失われます。選択肢の「85度、5分間」はこれを十分に満たします。
2:× セレウス菌(嘔吐型)が産生する毒素「セレウリド」は非常に耐熱性が高く、126度で90分加熱しても失活しません。調理後の再加熱では防げません。
3:× ウェルシュ菌は芽胞を形成するため、加熱に強いです。また、45度程度の再加熱はむしろ増殖を促進させる温度域であり、予防にはなりません。
4:× カンピロバクターは少量の菌数でも発症します。冷凍(-20度)により菌数は減少しますが、完全に死滅するわけではないため、加熱調理が基本です。
5:○ 正解。アニサキス幼虫は、-20度で24時間以上(安全のため48時間)冷凍することで死滅します。

問234,235

解答・解説

問 234(実務)
正答:2
1:× ジメルカプロール(BAL)は、重金属(ヒ素、水銀など)中毒の解毒薬です。
2:○ 正解。アセトアミノフェンの過量投与による肝障害に対しては、N-アセチルシステインが第一選択の解毒薬となります。
3:× 亜硝酸ナトリウムは、シアン(青酸)中毒の解毒薬です。
4:× プラリドキシムヨウ化物(PAM)は、有機リン系殺虫剤中毒の解毒薬です。
5:× フルマゼニルは、ベンゾジアゼピン系薬物による鎮静の解除に用いられます。

問 235(衛生)
正答:5
1:× アセトアミノフェンの未変化体です。
2:× 毒性代謝物である N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)です。
3:× アセトアミノフェンの硫酸抱合体です。
4:× アセトアミノフェンのグルクロン酸抱合体です。
5:○ 正解。アセトアミノフェンのグルタチオン抱合体です。解毒薬(N-アセチルシステイン)の投与によりグルタチオン供給が増えるため、この生成量が増加します。

問236,237

解答・解説

正答:3, 5
1:× クロルプロマジンは、高度催吐性抗がん剤の標準的な予防薬ではありません。
2:× メトクロプラミドは単独ではシスプラチンの強い嘔吐を抑えられません。
3:○ 正解。アプレピタント(NK1受容体拮抗薬)は、高度催吐性リスクのあるシスプラチン等の遅発性嘔吐予防に必須です。
4:× オランザピンも併用されることがありますが、標準的な3剤併用療法の選択肢としては3と5が優先されます。
5:○ 正解。パロノセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)は、急性および遅発性の悪心・嘔吐予防に用いられます。

問 237(衛生)
正答:2, 3
1:× 構造式はバルビツール酸誘導体であり、膀胱がんとの関連は低いです。
2:○ 正解。構造はo-トルイジンです。染料中間体等として使用され、職業性膀胱がんの原因物質です。
3:○ 正解。構造はMOCA(3,3′-ジクロロ-4,4′-ジアミノジフェニルメタン)です。芳香族アミン類で、職業性膀胱がんの原因となります。
4:× ビス(クロロメチル)エーテルであり、肺がんの原因物質です。
5:× 1,2-ジクロロプロパンであり、胆管がんの原因物質です。

問238,239

解答・解説

問 238(衛生)
正答:6
【計算過程】
硬度は 1 L あたりの炭酸カルシウム量に換算します。
Ca:21.6 mg×10=216 mg/L21.6 \text{ mg} \times 10 = 216 \text{ mg/L}
Mg:9.5 mg×10=95 mg/L9.5 \text{ mg} \times 10 = 95 \text{ mg/L}
216×(100.1/40.1)+95×(100.1/24.3)216 \times (100.1 / 40.1) + 95 \times (100.1 / 24.3)
539+391=930539 + 391 = 930したがって、930 mg/L となります。

問 239(実務)
正答:1, 4
1:○ 正解。リセドロン酸(ビスホスホネート薬)は、硬水のミネラル(Ca、Mg)とキレートを形成し、吸収が著しく低下するため、軟水で服用します。
2:× 服用後、少なくとも30分は水以外の飲食を避け、横にならないよう指導します。
3:× リセドロン酸の服用で尿が橙赤色になることはありません。
4:○ 正解。食道粘膜への刺激を避けるため、噛んだり舐めたりせず、多めの水で服用します。
5:× 服用を忘れて朝食を食べた場合は、その日は服用せず、翌朝に服用するよう指導します。

問240,241

解答・解説

問 240(衛生)
正答:3
過マンガン酸カリウム(KMnO4KMnO_4)消費量は、試料 1,000 mL1,000\text{ mL}1 L1\text{ L})あたりに消費される KMnO4KMnO_4 の質量(mg)で表します。

反応に使われた KMnO4 の総量を求める 最初に加えた 10 mL と、逆滴定で追加した 5.0 mL を合わせて、合計 15.0 mL を使用しました。

有機物の酸化以外に使われた分を差し引く 加えたシュウ酸ナトリウム 10 mL は、KMnO4 10 mL 分とちょうど反応します(ファクターが 1.000 のため)。したがって、純粋に有機物の酸化に消費された KMnO4 の体積は、15.0 – 10.0 = 5.0 mL となります。

KMnO4 の質量を算出し、1 L あたりに換算する 0.002 mol/L の KMnO4 溶液 1 mL 中には、0.316 mg の KMnO4 が含まれています(式量 158 × 0.002 mol/L)。 検水 100 mL 中で消費された量は、5.0 mL × 0.316 mg/mL = 1.58 mg です。 これを 1 L(1,000 mL)あたりに換算するため 10 倍すると、15.8 mg/L となり、最も近い値は 16 です。

したがって、最も近い値は 16 となります。

問241(実務)
正答:4, 5

1:× 過マンガン酸カリウム消費量が多い(有機物が多い)ほど、消毒用の塩素と反応してトリハロメタンの生成量は増加します。抑制はできません。
2:× プール水の表面には皮脂や髪の毛などの汚れが浮きやすいため、適度にオーバーフロー(溢れさせる)させて汚れを取り除くことが推奨されています。
3:× 一般的な循環ろ過装置は、砂などを用いて「濁り」を除去するためのもので、水に溶け込んでいる有機物を直接取り除く効果は高くありません。
4:○ 正解。入泳者が多かったり、入る前のシャワーが不十分だったりすると、汗や汚れなどの有機物が持ち込まれ、過マンガン酸カリウム消費量の値が高くなります。
5:○ 正解。学校環境衛生基準では、大腸菌は「検出されないこと」と定められています。採水場所 A で大腸菌が検出されているため、再検査で安全が確認されるまで遊泳を禁止するのが適切な助言です。

問242,243

解答・解説

問 242(実務)
正答:3, 5
1, 2, 4:× 学校環境衛生基準の「燃焼器具使用時」の追加検査項目ではありません。
3:○ 正解。石油ファンヒーター等の燃焼器具を使用する場合、一酸化炭素(CO)の濃度を確認する必要があります。 5:○ 正解。燃焼に伴い発生する二酸化窒素(NO2)も、換気状態を判定するための追加測定項目です。

問 243(衛生)
正答:2

【計算過程】

  1. 容積 V=80×2.5=200 m3V = 80 \times 2.5 = 200 \text{ m}^3
  2. 必要換気量 Q=M/(CC0)=0.02/(0.060.01)=0.4 m3/hrQ = M / (C – C_0) = 0.02 / (0.06 – 0.01) = 0.4 \text{ m}^3/\text{hr}(Lを m3m^3に換算)
    0.02 L=0.00002 m30.02 \text{ L} = 0.00002 \text{ m}^3、濃度 0.06 ppm=0.00000006 m3/m30.06 \text{ ppm} = 0.00000006 \text{ m}^3/\text{m}^3 なので、Q=0.00002/0.00000005=400 m3/hrQ = 0.00002 / 0.00000005 = 400 \text{ m}^3/\text{hr}
  3. 換気回数 n=Q/V=400/200=𝟐 回n = Q / V = 400 / 200 = \textbf{2 回}

問244,245

解答・解説

問 244(衛生)
正答:3
【計算過程】屋内の暑さ指数(WBGT)は以下の式で求めます。
WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度WBGT = 0.7 \times \text{自然湿球温度} + 0.3 \times \text{黒球温度}
WBGT=0.7×25.0+0.3×32.0WBGT = 0.7 \times 25.0 + 0.3 \times 32.0
WBGT=17.5+9.6=𝟐𝟕.𝟏WBGT = 17.5 + 9.6 = \textbf{27.1}
最も近い値は 27 です。
【参考】
屋外:WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内:WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

問 245(実務)
正答:3, 5
1:× 室温が 28.5 度以下でも、湿度が高い場合などは熱中症の危険があります。
2:× 「のどの渇き」を感じる前に、定期的・先制的な水分補給が必要です。
3:○ 正解。めまい、大量の発汗、筋肉のこむら返りなどは、熱中症の初期症状として注意すべきサインです。
4:× 経口補水液(病者用食品)は脱水症の療法に用いるものであり、健康な人の日常的な予防(飲料)目的ではありません。
5:○ 正解。経口補水液はナトリウム濃度が高いため、飲み過ぎるとナトリウムの過剰摂取になる恐れがあります。

※万が一誤りがあった場合、その結果については責任を負いかねますので、予めご了承ください。

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